39歳、ふたりで始めた不妊治療。思わぬ壁 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

39歳、ふたりで始めた不妊治療。思わぬ壁

産まないことは「逃げ」ですか④

産んでも産まなくてもこれでよかったと思える人生のために。女として「自分が主語」の人生を楽しむためのヒントがある。34歳で子供が欲しくなり、40歳で不妊治療をやめたコラムニスト吉田潮氏の言葉を新刊『産まないことは「逃げ」ですか?』より紹介したい。

いわゆる震災婚

 震災後、彼はちょくちょく東京に来てくれた。有事の際に私がまったく使えない人間であることが露呈したからだ。寂しさと不安もあって、眠れない日もあった。そこで、また私の悪い癖、「子供が欲しい病」の発症である。

 ある程度は仕事で勉強していたので、不妊治療についてはそれなりに知っていた。知っていたつもりだった。40歳を超えると、たとえ体外受精でも妊娠率がガクンと下がること、数十万円はかかること、卵子がとれても受精卵になるとは限らないこと、人工授精よりも体外受精のほうが手っとり早いこと、不妊治療に非協力的な男がたくさんいるということ、そして不妊治療が原因で別れるカップルも実に多いなどなど。

 まずはひとりでクリニックへ行き、39 歳なのでスピード&効率優先主義であることを医者に伝えた。まだるっこしい検査をいくつも受けている時間的な余裕はないので、体外受精をしたいと。

 これは彼とも合意済みである。彼が不妊治療についてどこまで理解していたかはわからないが、ひととおりは電話で説明した。年齢を考えると、手っとり早く効率のよさそうな体外受精を受けたほうがいいと、プレゼンしたのだ。おそらく私の熱意ある、というか鬼気迫るプレゼンは迫力があったに違いない。彼に有無を言わせなかったのだと思う。そして、彼は限りなく優しい男なので、「やりたいんだったら協力するよ!」とひとつ返事だったのである。

次のページオカズは『ザ・ベスト』

KEYWORDS:

オススメ記事

吉田 潮

よしだ うしお

コラムニスト

1972年生まれ。おひつじ座のB型。千葉県船橋市出身。ライター兼絵描き。



法政大学法学部政治学科卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。医療、健康、下ネタ、テレビ、社会全般など幅広く執筆。『週刊フジテレビ批評』、『Live News it!』(ともにフジテレビ)のコメンテーターなどもたまに務める。2010年4月より『週刊新潮』にて「TVふうーん録」の連載開始。2016年9月より『東京新聞』放送芸能欄のコラム「風向計」を連載中。著書に『幸せな離婚』(生活文化出版)、『TV大人の視聴』(講談社)、『産まないことは「逃げ」ですか?』(KKベストセラーズ)、『くさらない イケメン図鑑』(河出書房新社)ほか多数。本書でも登場する姉は、イラストレーターの地獄カレー。



公式サイト『吉田潮.com』http://yoshida-ushio.com/



公式ツイッター吉田潮 (@yoshidaushio) | Твиттер - Twitter



 



 


この著者の記事一覧

RELATED BOOKS -関連書籍-

産まないことは「逃げ」ですか?
産まないことは「逃げ」ですか?
  • 吉田 潮
  • 2017.08.26